宅地の品質を見る際に最も参考になるのは”地形 “でしょう。地盤を調べる専門家はその宅地がどんな地形に属しているのかをまず調べます。地形の成り立ちはその地盤の内部の条件をある程度規定してしまいますので、低地なのか、台地なのかを知ることは、おおよその地盤の構造や硬軟までがわかるものなのです。どんな地形であるかを判別する事は特に専門的な訓練を受けていなくてもある程度はわかるでしょう。
敷地の地層が泥土、腐植土(有機物が腐って土になったもの)などで構成されていたり、沼や緩い砂などからなる海岸を埋め立てた土地を一般に軟弱地盤と呼んでいます。このような軟弱地盤はその宅地の位置が周辺の土地の高さに比べて必ず低い位置にあります。三角州や河川沿いなどの低地には軟らかい土が堆積していますし、谷底に当たるような低い土地も同じです。このような土地に家を建ると不同沈下が起こったり、地震のとき家は大きく揺れる傾向がありますので対策が必要です。
沼、水田、湿地、谷、海岸などに土砂を埋めた土地を埋立地といいます。このような土地に家を建てると、地震の時揺れやすいだけでなく、地面が大きく陥没、地割れ、沈下などにより、家が傾いたり、基礎から壊れる心配がありますので対策が必要です。
盛土は、普通1m3あたり16kN~18kNもの重量があります。軟弱な地盤の上に盛土をすると、その重さを受けた軟弱層は水を絞り出すようにして徐々に沈下を起こします。これを圧密沈下といいます。もし軟弱層の厚さが厚いときには不同沈下となる心配がありますから対策が必要です。
山地や丘稜地などを盛土や切土で造成した敷地は、安定するまでに盛土部分が元の地形の斜面に戻るような変形をしようとします。このような地盤に家を建てますと、家と一緒に基礎が不同沈下で壊れるおそれがあります。
基礎は、しっかり支持地盤(家の重さを支えられるだけの十分な強度をもつ地盤)に設置することと、擁壁の背後に流れ込む地中水の処理をするために水抜き穴を設ける必要があります。
丘陵地の造成では切り土された尾根の土を谷側に盛り土をして平らにしますので元の地山と盛土との境目ができます。このようなところが最も不同沈下を起こしやすくなります。こんな場合には盛土側を地盤改良などによって固めるかまたは杭を打つなどの対策が必要です。
崖や急科面に接近した場所(崖麓線)では、集中豪雨や地震による土砂崩れや擁壁の倒壊で、家が押しつぶされる危険があります。このような場所にやむを得ず家を建てる場合は、崖の保護のための工事をした上で、崖からできるだけ離して建築しましょう。崖上に家を建てる場合、崖端に接近した場所(崖端線)では、崖崩れ防止の擁壁その他で防護措置を講じる必要があります。
丘陵や台地を下った先には谷があります。一般に谷筋には腐植土のような軟弱な地層が堆積します。その上に盛土がされた場合谷底の軟弱層は圧密沈下を起こします。そのとき、谷の中心線(軟弱層の厚い方)に向かって沈下がより大きくなりますから、不同沈下となる可能性が高くなります。このため杭で支持させるなどの対策が必要になります。