地盤が悪いときで、基礎を補強するだけでは十分でない場合、地盤自体を補強して丈夫にする方法もあります。これを地盤改良といいます。
現在主に用いられる宅地の地盤改良工法には、表層地盤改良と柱状地盤改良とがありますが、地盤の状態によって適切な工法を選ばなければなりません。
地盤改良は、地盤調査により得られたデータをもとに、一番効果的な方法を専門家のアドバイスによって行うようにしましょう。
ダンプカーで田んぼの中を走ろうとする場合、表面に鉄板を敷いたり砂利砕石を敷き詰めるなどの処置をします。田んぼをダンプカーが走れないのは表面が軟らかく、地盤にダンプカーを支える固さが足りないからです。
それでは表面に鉄板や砂利砕石を敷くことで、ダンプカーを支えられるようになるのは何故でしょう。それは、鉄板や砂利砕石がダンプカーからタイヤを通して田んぼの地盤に伝わる荷重を分散し、小さくしてしまうからです。
これらは舗装工学の基礎になる考え方で、荷重の伝わる範囲を砕石やコンクリートやアスファルトで固くしておけば、その下が軟らかくても上の荷重を支えることができるわけです。
住宅の基礎においてもまったく同じ事が言え、基礎からの荷重が伝わる地表部を固くすることでその荷重を支えることができるのです。つまり、表層地盤改良は基礎下の舗装の役目をしているわけです。
この工法の特徴は、硬い板状の人工地層を作ることで、建物を支える力(支持力)が大きく強くなることです。また同じ厚さなら棒より板のほうが曲げにくいように、板状に造成した地盤は面内剛性という曲げる力に対する抵抗力が大きくなるために不同沈下を起こしにくくなることです。
表層地盤改良は、セメント系の土質固化材を現地盤の土としっかり混ぜ合わせ、それを締め固めるという方法で施工します。通常1m3あたり、100kg前後の固化材をバックホーという機械を用いて混合し、基礎が載る範囲を平らな板(改良厚さは普通1.0m~2.0m)のような形に固めてやる方法です。
次に示すような地盤では表層地盤改良などでは不十分で、柱状地盤改良が効果を発揮します。
◇地層が傾いていて大きな不同沈下量が予想される場合
◇地下水位が地表面近くにあり、粒度が均等な砂地盤で、表層改良では固まりにくい場合
◇大きな不同沈下が予想される事から、杭基礎方式を採用したいがN値10程度の地層しかなく、杭の支持層としては不十分な場合でも、柱状地盤改良なら支持層にできる場合
◇原地盤の強さと改良体の強さを複合させて地盤全体の強さを増やしたい場合
柱状地盤改良は右図のような先端に攪拌翼を取り付けた穿孔装置を持つ機械を使って施工します。
はじめに改良予定の深さまで空堀りし、攪拌翼で土をよくほぐします。別に用意したミキサープラントで土質固化材を水に溶かしてミルク状にしておきます。セメントミルクをポンプで孔の先端へと送り込み、攪拌翼が回転して土と混合します。攪拌翼を回転させながら少しづつ引き揚げると、円柱状の固化材と土の混合体(ソイルセメントコラムといいます)が作られます。
1週間ほどするとこのソイルセメントコラムは堅く固まりますから、円柱の周面に働く摩擦力と、円柱先端に働く先端支持力とによって荷重を支えることができるのです。