下図は建築に関する法律の体系。そのうち住宅地盤に特に関係するのは次の法律である。
・建築基準法
・住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)
・住宅瑕疵担保履行法
建築物の基礎は、建築物に作用する荷重及び外力を安全に地盤に伝え、かつ、地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全なものとしなければならない。
地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力は、国土交通大臣が定める方法によつて、地盤調査を行い、その結果に基づいて定めなければならない。ただし、次の表に掲げる地盤の許容応力度については、地盤の種類に応じて、それぞれ次の表の数値によることができる。
【解説】建築基準法施行令第38条と第93号は、どちらも基礎や地盤についての原理原則的な事項であり具体的な定めではない。
地盤の長期許容応力度 | 基礎の構造 |
20kN/㎡未満 | 基礎ぐい |
20kN/㎡以上30kN/㎡未満 | 基礎ぐい、べた基礎 |
30kN/㎡以上 | 基礎ぐい、べた基礎、布基礎 |
【解説】地盤の長期許容応力度が20kN/㎡未満でも、柱状改良や小口径鋼管等の地盤補強を行うことで20kN ~30kN/㎡以上とみなすことができれば、べた基礎あるいは布基礎を採用できる。つまり小規模建築物で行われている地盤補強はあくまでも任意で、法律上は単なる地業(補強された地盤)であるということを意味する。
地盤の許容応力度を定める方法は、次の表の(1)項、(2)項又は(3)項に掲げる式によるものとする。 ただし、地震時に液状化するおそれのある地盤の場合又は(3)項に掲げる式を用いる場合において、 基礎の底部から下方2m以内の距離にある地盤にスウェーデン式サウンデイングの荷重が 1kN以下で自沈する層が存在する場合若しくは基礎の底部から下方2mを超え5m以内の距離にある 地盤にスウェーデン式サウンデイングの荷重が500N以下で自沈する層が存在する場合にあっては、 建築物の自重による沈下その他の地盤の変形等を考慮して建築物又は建築物の部分に有害な損傷、 変形及び沈下が生じないことを確かめなければならない。
【解説】上記告示に「建築物又は建築物の部分に有害な損傷、 変形及び沈下が生じないことを確かめなければならない」とあるが、確かめる方法が具体的に示されていない。つまり、SWS試験で所定の自沈層がある場合は設計者の判断で検討しなければならないということになる。
非常にあいまいな基準であることから、下図のように判定者によって同じ地盤調査資料から判断が分かれることもあり得る。ある意味小規模建築物の地盤判定の特徴であり、悩ましい問題でもある。
品確法は以下の3本柱で構成されている。
【解説】品確法において、基礎に起因して住宅が傾いた場合、住宅の建築・販売業者は修補の責任を負わなければならない、と明確になった。一部に残っていた地盤に起因する問題は施主側の責任でもあるという考え方が払拭された法律である。これ以後、地盤調査をして必要ならば地盤補強、という流れが普通になった、
2000年の品確法では主要構造部分の瑕疵担保責任10年間が義務付けられたが、さらに本法律で賠償の供託または保険加入による資力確保を義務付けた。供託方式でない場合、住宅の建築・販売業者は定められた保険法人の保険に加入しなければならない。
【解説】保険法人は基礎・地盤に起因する事故を減らすため、設計施工基準でほぼ地盤調査を義務付けている。事実上、戸建住宅においても地盤調査が必須となった法律である。