24. 茨城県の地形地質の特徴と地盤補強

吉井 孝文
ジャパンホームシールド(株) 技術士

1.茨城県の地形分布

  茨城県の地形を概観すると、主に4つの特徴ある地域に分けることができる。
1.1 県北部:海に迫る山岳地・海岸段丘
 県北部は茨城県内では山がちな地域で、阿武隈山地の南端と八溝山地からなる。
 これら山地は棚倉構造線と呼ばれる断層によって分けられており、航空写真や図–1のようなDEMデータによる地形図を見るとその境界の位置は明瞭である。
 八溝山地の南端は関東平野のビルに登れば北東方向に盛り上がって見える筑波山である。この八溝山地は、中生代ジュラ紀の付加体であり、地質は主に海成の砂岩からなるが、南端の筑波山だけは頂上が白亜紀のハンレイ岩で山体は古第三紀の花崗岩でできている。遠望では連続して見える山系でもその地質は場所により異なる。
 ちなみに、筑波山付近の花崗岩は山麓北東の稲田・真壁地区では「筑波石」と呼ばれ、優良な石材として切り出し利用されている。2016年に日本地質学会から県の石に選定されている。また、伝統工芸品「笠間焼」には当地の花崗岩が風化してできた陶土が使用されている。
 茨城県の東縁は太平洋に面しており長い海岸線をもつ。阿武隈山地の隆起や関東造盆地運動の影響(盆地中央が窪むことで外周が持ち上げられる反作用現象)により北茨城市から鹿嶋市にかけて海沿いが隆起することで海岸段丘の発達がみられる。日立市や水戸市など主だった市街地はこの海岸段丘上か、その裾にある砂丘上に立地している。

ibaraki_fig1

 

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