●地形
北海道は本州弧と千島弧との会合部に位置し、西部・中央部・東部の大きく三つの地質構造から成り立つ。
西部はおおよそ石狩平野以西の範囲を指し、東北地方を縦断する那須火山帯*1の北端部に当たる本州弧的な地質構造を特徴とする。
この地域には北海道駒ケ岳(標高1131m)、有珠山(標高733m/洞爺湖南側)、羊蹄山(標高1898m)、ニセコ火山群(羊蹄山西方)などの火山山系を含む大起伏の山岳地が展開し、火山地周辺には火砕流堆積物や火山性降下物が分布している。洞爺湖・支笏湖は共に激しい火山活動を物語るカルデラ湖*2である。
低地は大小河川の河口沿岸部などに見られ、石狩川河口付近に発達する石狩低地のほかに、函館低地や利別川低地(渡島半島湾曲部)などに発達する。西部域における泥炭*3分布は石狩川流域で顕著。
中央部は石狩平野以東の地域で、道央に展開する主要な山岳地帯を内包し、網走西方から十勝川河口部に至る網走構造線を西縁とする。列島形成初期より褶曲や隆起など活発な造山運動を経ており、南北方向に延びる地質構造が東西に並列する特徴を有する。
道央山地の大半を含み、手塩山系・北見山系は主要部標高500m程度、夕張山系は主要部標高500-1000m程度、南部の日高山系は
標高1500-2000m程度の山々が主要部を占めている。また北見・日高両山系に挟まれた範囲には、主要部に大雪山火山群(大雪山:標高2290m)や十勝火山列(十勝岳:標高2077m)を擁する石狩山地が展開し、付近に大量の火成堆積物が分布している。いずれの山地帯も沿岸部に向かって徐々に標高を下げ、山麓丘陵や段丘状地形を成す。
低地は手塩山地北端に形成された手塩低地、山間盆地である上川低地のほか、大小河川の河口部沿岸域などに分布する。十勝平野は十勝川流域に形成された低平地で、ローム台地や砂礫段丘などの段丘状地形が発達しており、いわゆる沖積低地の分布は河川主要部に限られる。なお、中央部における泥炭分布は十勝川
中下流域、石狩川流域、上川低地、天塩低地などで顕著。
東部は網走構造線以東の範囲で、雌阿寒岳(標高1499m)から阿寒湖・屈斜路湖・摩周湖などのカルデラ湖を経て知床半島まで連なる知床火山列、釧路湿原とこれを囲む白糠丘陵、火砕流堆積物(ローム)で覆われた根釧台地と沿岸低地などからなる。
*1.那須火山帯は長野県浅間火山群を南端とし、奥羽山脈を以って東北地方を貫いている。北海道では亀田半島や渡島半島の火山地を経て、石狩湾をかすめ、利尻島を形成する利尻火山地を北端とする。
*2.カルデラとは、爆裂以外の要因で生じた直径2km以上の火山性火口状凹地を指し、カルデラ全体または大半が湖となっているものをカルデラ湖という。北海道では洞爺・支笏・屈斜路・摩周などが知られる。
*3.泥炭とは、枯死した植物遺体の生化学的分解が十分に行われないまま有機質土化した状態で、石炭生成のごく初期段階をいう。肉眼で容易に識別可能な植物繊維を多量に含み、土壌学的には有機質含有量50%以上、工学的見知では土中に土砂や火成降下物など無機分を含むことを考慮し、有機室含有量20%以上を泥炭として扱う。
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