●地盤
・山地・丘陵地
関東山地、足尾山地および周辺丘陵は、各種岩盤類が基盤を構成する岩石系山地の様相を呈し、岩盤由来の風化土砂のほか、黒ボク土(有機質土)や火山噴出物などが被覆する。
一方、火山地では、主に火山活動由来の火成岩類が基盤となり、熔岩質の山頂部を除くと、火砕流・泥流堆積物などが広く分布しており、その上位は火山灰質の関東ローム層が被覆する。特に起伏の少ない部分や裾野などの緩斜面では厚く発達する。
住宅地盤を想定すると、ロームの分布域では安定した地盤の形成も考えられるが、表層部を厚い黒ボク土が覆っていることもあり、注意を要する。また、造成を伴う場合は自然地盤と人工的な盛土部分とのバランスなどに配慮した慎重な対応が必要となる。
・台地
砂礫や泥流堆積物により形成された地形面(洪積台地・扇状地など)の上位に、火山灰質の関東ロームが厚く分布する。ロームの層厚は、被覆している下位地形面の形成年代や地質構造によって、大きく異なる。
住宅地盤としては良好と考えられるが、ロームの分布地域では地表付近を黒ボク土(有機質土)が厚く被覆する場合もあるため、注意を要する。
・低地
山地を水源とする諸河川(利根川と渡良瀬川およびその支流)の流路に沿って、谷底低地、河岸沖積地(低位段丘)、氾濫原、後背湿地などが分布する。一般に上流域では、粗礫や砂が浅い深度から分布することが多いが、中〜下流域では山麓や台地を開析して、河岸段丘や谷底低地、氾濫原へと連なり、基盤岩の上位に砂質土や粘性土、砂礫などが互層状に堆積した軟弱層が形成される傾向にある。
軟弱層の層厚や状態は各地形の形成年代や地質構成により異なるため、住宅地盤を想定すると、地盤状態を十分に把握することが必須であり、基礎形式の選定は慎重に行う必要がある。
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