福島県の地形・地盤


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●地形
 福島県は、東側に阿武隈高地が南北に連なり、西側には奥羽山脈や越後山脈が広大な山地帯を形成する。県内の80%程度が山地、丘陵地の様相を呈し、地形や気候風土などから会津・中通り・浜通りの三地方に区分される。

 会津地方は、北方から県央部に延長する奥羽山脈より西側の地域を示し、新潟県境に展開する越後山脈とともに大起伏の山地帯を形成する。北部域には磐梯山、猪苗代湖、五色沼湖沼群などが位置し、磐梯山西側に山麓丘陵や扇状地、三角州性低地などで構成される低位の地形―会津盆地―が展開する。また南西部の群馬県境には低湿地帯―尾瀬湿原―が発達する。なお、火山地として吾妻・磐梯・猫魔・安達太良(あだたら)・鎌房、東北最高峰(標高2,356m)の燧ヶ岳(ひうちがだけ)などが分布する。

 中通り地方は、奥羽山脈の東面付近から阿武隈高地に達するまでの地域で、阿武隈川の本流に沿って南北に幅10〜30km程度の低地帯を形成する。低地帯は阿武隈山地北西部や須賀川以南の地域では低平な山麓丘陵や台地などにより盆地状に分割され、北部に福島盆地、中部に郡山盆地、南部に須賀川・白川盆地がそれぞれ位置する。

 浜通り地方は、阿武隈高地以東の地域であり、太平洋沿岸部は細長く帯状の低平地となっており、山麓丘陵や台地が分布する。さらに阿武隈山地を水源とする宇多川、真野川、新田川、室原川、夏井川、鮫川などの河川が東流して、開析が進み、段丘や三角州の形成が著しい。

 

●地盤
・山地
 各種岩盤類や礫層が基盤を形成し、その上位を黒ボク土(腐植性有機質土)や岩盤類由来の風化土砂が被覆するほか、火山地では火山砕屑物や泥流堆積物などが分布する。また、開析地では岩屑土の二次的堆積も見られる。
 宅地利用に際しては、造成による地盤状態の改変を考慮し、自然地盤の状態と人工的な盛土部分とのバランスに配慮した慎重な対応が必要である。

・丘陵地・台地
 山麓部に広がる小起伏で低平な地形であり、浜通り地方の海岸沿いと中通り低地に広く分布する。岩石や砂礫を基盤とし、その上部を粘性土や(火山性を含む)泥流堆積物が被覆するほか、河川沿いや盆地周縁部では段丘が発達して、砂礫台地の様相を呈する。地域によってはローム質土で覆われ、特に中通り地方の福島南部から二本松市にかけての地域、矢吹町から白河市にかけての地域ではローム質土層が発達している。
 戸建住宅の地盤としては安定した良好な場合が多いが、ロームの分布地域では表層部を黒ボク土(有機質土)が厚く被覆していることもあり、十分な注意を要する。また、造成を伴う場合は、自然地盤の状態と人工的な盛土部分とのバランスに配慮した慎重な対応が必要となる。

・低地
 河川流域の氾濫原や盆地、太平洋岸の海岸低地および各開析低地(谷)などに細分される。基盤岩の上位に、砂質土や粘性土を混在する軟弱地盤が形成されていることが多く、各地形の地質構造や形成年代などにより、軟弱層の層厚や状態は大きく異なる。概ね主要河川(とその支流)流域の谷地・平野や盆地の中心部、海岸地域では軟弱層が厚く発達する傾向にあり、中〜上流部では泥砂や礫または礫主体の構成となる。
 住宅地盤を想定すると、軟弱層の層厚や状態および締まった地層の分布深度や均質性などを十分に把握することが必須であり、基礎形式の選定は慎重に行う必要がある。

 

   参考文献
   「縮尺20万分の1 土地分類図付属資料(福島県)」(発行:財団法人日本地図センター)
   「日本の地質2 東北地方」(発行:共立出版株式会社)

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最終更新日:2001/10/04