宅地の地盤判定とは、広義の「地盤調査」を実施した上で、住宅の建築に際して軟弱地盤対策(=地盤補強)が必要かどうかを判断することです。
広義の「地盤調査」とは、現地計測データを得ることだけではなく事前の資料調査と敷地および敷地周辺状況の情報を合わせた総合判断をすることをいいます。
ここでは、現地計測として一般的なスウェーデン式サウンディング(SWS)試験を用いる場合、技術者がどんな情報に基づいてどんなフローで地盤の判定をするのか概略を説明します。
まずは地形を調べることができる地図から調査地の地形条件を確認し、地域の特性も加味して地層・地盤を推定します。地形を調べる地図には、「土地条件図」「1/25000地形図」「航空写真」などがあります。現在ではインターネットですぐ調べられます。
次に調査地近隣の地盤データがあれば必ず参照します。なお、地盤データはどんなに近くても調査地と同じ地形条件でなければ有効ではありません。
現地における地盤調査結果には、現地の写真、計測データ、敷地および敷地周辺状況のチェックリスト、土のサンプリング等があります。
現地調査写真
現地の写真から、敷地の表土の状況や周辺地の傾斜、前面道路の広さなどの情報が得られます。
計測データ
計測データから、深度ごとの土質、地盤の硬軟、地下水位、貫入障害、地層の傾斜などが推測できます。
敷地および敷地周辺のチェックリスト
チェックリストから、周辺建物や構造物の亀裂や傾斜といった異常事項、あるいは盛土の状況、近隣との高低差など地盤判定に重要な情報が得られます。
土のサンプリング
必要に応じ土のサンプリングを指示し、土質の確認をします。腐植土が疑われる場合や地山確認などで土のサンプリングは有効です。
前述の事前調査(資料調査)と現地調査結果に基づいて、調査地の地層・地盤を推定します。ここにおいて技術者は、自らの知識・経験を総動員して、三次元的な想像力を働かせることになります。
表層地盤(盛土)の状況は・・
瓦礫など地中障害物は・・
地層の傾斜は・・
擁壁底版は・・埋戻しは・・
土質構成は・・
地下水位は・・
軟弱層はあるか・・
腐植土の存在は・・
安定層はあるか・・
硬質層はあるか・・
最終的に地盤調査の結果として、建築物に有害な沈下を生ずる可能性がある軟弱層が存在すると判断したときは「地盤補強対策が必要」、そうでない場合は「直接基礎で対応可能(地盤補強対策不要)」という判定になります。
戸建住宅の場合、基礎そのものの仕様は予め決まっていることが多く、地盤判定として基礎の形状や基礎配筋の仕様まで提案することはほとんどありません。
地盤補強対策が必要
地盤補強対策は不要