渥見 智紀
住宅パイル工業(株) 地盤調査解析室
青森県は本州の最北端に位置し、東に太平洋、西に日本海、北に津軽海峡と三方を海に囲まれ、さらに下北半島(形が鉞に似ていることから、まさかり半島という別名もある)が陸奥湾を抱えこむような特徴的な形をしている。
県内は、津軽地方、南部地方、下北地方の3 つの地方に大きく分けられ、それらはさらに6 つの地域に分けられる(図–1)。地方ごとに色々と異なるが、方言と気候がわかりやすい違いである。方言は、「青森県=津軽弁」のイメージが強いが、「南部弁」や「下北弁」もあり、特に「津軽弁」と「南部弁・下北弁」は大きく異なる。気候は、県内全域が豪雪地と思われがちだが、多雪なのは津軽地方で、特に八甲田山の酸ヶ湯は世界有数の豪雪地帯であるのに対して、南部地方の特に南東の太平洋側に近づくにつれて小雪となる(図–2)。また、夏の太平洋側は冷たく湿った偏東風(やませ)により低温・多湿な日が多くなり、下北地方は地方内でも場所により気候が異なり複雑である。
青森県は「りんご」「にんにく」「ごぼう」が日本一の生産量を誇るが、各生産量も地方で異なる。明治8年に当時の内務省勧業寮から3 本の苗木が配布されたのが生産の始まりとなった「りんご」は津軽地方(特に山岳地帯に囲まれて栽培に最適な気候を有する中南地域)が盛んで、南部地方は「にんにく」「ごぼう」が盛んで、これは火山灰を含んだ柔らかい土質であるとともに、通常の作物では冷害となる偏東風(やませ)の涼しさも成長や甘みを増す要因の一つになっていることが理由である。また漁業では、親潮・黒潮・対馬暖流が流れ込んでくる津軽海峡で獲れる「大間のマグロ」が有名である。
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青森県の地形と戸建住宅の地盤対策[2.7MB]